殺人事件といった非常に危険な事件もあり、そうした事件をテレビで見たりすれば、暴漢や通り魔の様な人から身を守ろうと考えますが、
実は殺人事件は、見知らぬ暴漢の様な人よりも、半数が親族で、9割が顔見知りによるものです。
そのため目に見えない暴漢や通り魔よりも、まず自分の身近にいる存在から身を守らなければなりません。

身近な人から身を守るためには、普段から相手に不快な思いをさせないことや、恨みを買わないようにすることですが、
誰であっても、自分なりに色々と気を付けているため、問題はどう氣を付けているかや、自分が氣付いていないことに気付いて行くことです。
たとえば大人になって人から𠮟られなくなると、自分は出来ている、ちゃんとやっている、礼儀が分かっていると錯覚するようになります。
しかしそれは、出来ているから叱られないのではなく、日本人は争いごとを避けるため、他人に対して本音を言わず我慢したり、見てみぬ振りをしたり、何も言わないだけに過ぎません。
それにいつまでも気付かず、気遣い、気配り、配慮に欠けたり、相手の立場や気持ちを理解しなかったり、礼節をわきまえられないと、やがて溜まった不満が爆発し、ご近所トラブルや人間関係のいざこざに発展したりします。
合気道開祖は、合気道の修行で一番大事なことは、礼儀正しくすることだと言われました。それが敵を作らず、隙を作らないことに通じることだからです。
また、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」などでも知られる、肥前国平戸藩の藩主で、心形刀流の松浦静山(まつうらせいざん)は、
「礼儀というのは用心のことであるから、この言葉をもって、回りくどくて、よく理解できない者は、剣術というものに対して大きな誤解をしているのだ」
とも言っていますが、護身術にしても、武道や護身術を身に付けて強くなるようなことが、自分の身を守れるものではありません。
今は礼儀も殆ど無くなりましたが、今よりはるかに礼儀を知っていた昔の時代でも礼儀について言うのは、それだけ礼儀が難しく、奥が深いからです。
また礼儀を学んで自分の身を守る護身術は、力の弱い女性であっても出来ます。護身術に興味のある方は、本当の礼儀を勉強してみて下さい。
礼儀の勉強すれば、いかに自分が礼儀しらずであったか、無礼で失礼な振る舞いをしていたのかを知り、恥ずかしくなったりしますが、そうしたことに気付き、改めることが、自分の身を守る護身術です。
こちらは、合気道開祖の直弟子であった先生が書かれた本で、昔の本のため少し値段がしますが、今までのツケを払うようなものだと思えば、それ程高くはありません。
書店にある一般的なマナーの本は、形式的なことについて書かれた本で、それはそれで必要ですが、それ以上に大事なことは、形式ではなく礼儀の本質を学ぶことです。
