札幌女性合気道に来ているある女性は、最近スーパーでおじさんが転んで困っていたのを見かけ助けたそうなのですが、近くに何人もいたにも拘らず、その人たちは何もせず、ただ黙って見ていただけだったのだとか。
それが不思議だったと言っていましたが、少し前の日本、特に都会の方では、何か困っているような人がいるのを自分が助けたりすれば、自分も何かに巻き込まれるのではないか、という不安や恐怖から見て見ぬ振りをしていたことはあったと思います。
そんな自分の身の安全ばかりを考え、目の前で倒れていない人を助けることも出来ない世の中を、尾崎豊さんは歌にしていたりしました。
道端に倒れた様に眠る人がいるよ
一度は目にするが すぐに目をそらして通りすぎる
誰もが不幸になるかもしれない自分を守り
自分の愛を向けることもバカらしくて出来ないまぬけな人ごみ
中国などでは、人助けをする人を狙った詐欺があったりするため、気軽に助けることが出来なかったりもしたり、人助けを注意されることもありますし、私も人助けをするとそれを心配して、余り関わらない方がいい、と言われたこともあります。
しかし歌舞伎町のような所で、酔っ払っている人とか、傷だらけみたいなことならともかく、スーパーで転んだおじさんを助けることで、事件に巻き込まれることは、若い女性ならまだしも、それ程リスクがあるものでもありません。
また通り過ぎていったのであれば、無関心だったり、不安や恐怖から助けることが出来なかったと思いますが、ただ何もすることなく見ていたというのは、助けてあげたい、何かしてあげたいという気持ちがあったからこそ見ていたのだと思います。
私はこのエピソードを聞いて、桜井章一氏の著書、「生き残るヤツの頭の働かせ方」に書かれていたことを思い出しました。
ある出版社の編集長が取材でやってきた。この編集者をちょっと試してみようということと、具体的に例を示して理解して欲しいと思ったので、近くにいた道場生を呼んでこう言った。
「おおい、Tくん。この編集長さん、言うことがつまんないんだよ。ちょっと頭をひっぱたいてあげて」道場生のTくんは、何の戸惑いも見せずに編集者に近づいて行って、
「もうちょっと、おもしろくお願いします」
と言い、編集者の頭をパンと叩いて去っていった。そして、私はこの編集者にこう言った。
「どうだい。これが壁を乗り越えているってことだよ。彼は乗り越えている。彼は相手が総理大臣でも、ボクシングの世界チャンピオンでも同じことをやったはずだ。
もし、あなたが常識とかプライドに凝り固まった人だったら、彼にあるいは私に怒りを覚えるだろう。でも、あなたにユーモアとか遊び心があったら、『あいつ、なかなかやるな』という感覚になるはずだ。そこに人間性が現われてくる」
中略
T君の話に戻れば、彼は行動する勇気という壁を乗り越えている。強いのだ。
彼もまさか突然私に呼ばれて、見ず知らずの私のお客の頭を殴れなんて言われるとはまったく思いもしていなかったはずだ。それなのに、躊躇なく叩いた。
知らない人の頭を殴るなんて悪いことに決まっている。その悪いことを、私の指示とはいえ躊躇なくできるというのが、壁を乗り越えているということなのだ。
もしこれを躊躇するようだと、正しいことでも躊躇してしまうのだ。
例えば、電車の中でお年寄りに席を譲ることを躊躇してしまったりする。普通は、お年寄りに席を譲ることは正しいことであり、やさしさであると教わる。だから、席を譲るのは正しいことだとみな知っている。
だが、これでは実際の場面で躊躇してしまうことがあるのだ。正しいことでも行動するには勇気が伴うからだ。
相手が知らない人や、自分の行動に対するリアクションが予想できない場合でも、まず真っ先に行動を起こせる勇気を教えなければいけない。
この勇気という壁を越えさせるには、先ほどのような悪いことから壁の乗り越え方を教える方が実は有効なことが多いのだ。
マイナスのことが出来る勇気を教えて、それをプラスのことにも応用していく。そうするとマイナスのことが案外簡単にできたりするものなのだ。
それを、プラスのことを先に教えてしまうから、躊躇してしまって体が動かない。
あるいはとにかく正しいことやいいことだけをして、自己満足だけに浸ってしまうようになる。悪いことをどんどん教えろという意味ではない。悪いことができる勇気を教えることにも大きな意味があるということだ。
「生き残るヤツの頭の働かせ方」 p27
今はあれこれ考えて、安全が保障されていないと、躊躇してしまうことは多いと思いますが、相手が知らない人や、自分の行動に対するリアクションが予想出来ない場合でも、まず真っ先に行動を起こせる勇気があるでしょうか。
札幌女性合気道では頭で一々考えず、直ぐに動けるようにとよく教えているのですが、頭で考えていては合気道の上達だけでなく、願望実現でも何をやっても遅いのです。
たとえば英会話でも主語とか動詞とか、過去形っにするんだったけ、などと一々考えていては、相手に変な人に思われたり、会話が成り立ちません。
またサッカーのゴール前で、シュートかパスかドリブルかなどと考えている暇はないし、相手がパンチを打ってきて、右に避けたらいいのか、左に避けたらいいのかなど考えていたらやられてしまいます。
それと同じように折角チャンスに出会ったとしても、頭であれこれ考えてはチャンスを逃がしたり、何か危険に出くわした時に、直ぐ逃げる、パッと回避するということが出来なかったり、
目の前に困っている人が現れた時に、ビックリして自分はどうしたらいいだろうか、とあれこれ考えている内、いつの間にか見学になってしまったり、頭では知っている正しい事も、いざとなったら躊躇してしまうのです。
成功の秘訣は頭であれこれ考えることではなく、直感を信じて行動を起こすことで、逆に頭であれこれ考えても結局行動に移さなかったり、
またあれこれ考えている内に、自分が作り出した勝手な想像から、余計に不安や怖さが増し行動出来なくなるという悪循環や、頭がいつまでもぐるぐるして状況が変わらなかったり、頭でっかちになって行きます。
今は非常に変化している時であるため、これから札幌も災害などいつ何が起こるか分からないですが、そんな時でも咄嗟に動けたり、チャンスを掴んで運気を上げるためにも、直観力と行動力を磨いていく必要があると思います。
札幌女性合気道で一緒に直観力と行動力を磨いていきましょう。