札幌で合気道されている方、また札幌女性合気道に入会された方向けに、袴の購入の仕方、選び方を説明します。
まずその前に、合気道をよく知らない方のために説明すると、合気道では、合気道を始めたからと言って、最初から袴をはくことは余りありません。
たとえば合気道の最大組織である合気会では、所属する道場によっても多少違うものの、一般的に男性は初段から、女性は三級からで、養神館合気道という組織に至っては、男性は三段からになっています。
また三段になるというのは、実力がどんなにあったとしても、合気道では年功序列のように、昇級、昇段するのに稽古日数と年数の制限があるため、最短で5年程度、週三回ぐらいの人で8年以上、週一回、二回ぐらいの人では更にかかります。
合気道で袴を直ぐにはけない理由としては、
「袴をはくと膝など足が見えにくくなり、指導者が指導しにくいため」
と説明されることが多いのですが、実は元々はそうではなく、むしろ昔は袴をはくことは義務でした。
しかし戦後の経済事情により、新しく合気道を始めた人が、袴を直ぐにはけなくなったことから義務ではなくなり、次第に男性は初段、女性は3級からとなり、また袴をはくことが一つの目標、ステータスのように袴をはく意味も変わったのです。
札幌女性合気道では、
目標を持って合気道に取り組むメリットはあるものの、
元々はそうでなかったこと、袴を履くことは正装であり、袴を履くことにより腰が安定し、合気道の技がやりやすくなる、腰の使い方を覚えやすい、今の日本人は和服になれる必要があることなどから、袴を履きたい女性がいましたら、現在は袴を履くことを許可しています。
また腰痛がある人も、袴を正しく履くことでコルセットのようになり、痛みが軽減する効果もあります。
袴にも色々種類がある
袴と言うと、全部同じようにも思えますが、裾を長くひくように仕立てた長袴(ながばかま)など、色々種類がありますが、袴は大きく二つのタイプに分けられます。
一つは、女性が成人式や卒業式で使われることが多い、股の部分がないスカートタイプの行燈袴(あんどんばかま)と、
巫女の方が神事で使われたり(紅袴)、剣道、居合道、薙刀(なぎなた)といった剣術、大東流合気柔術、合気道、弓道(行灯袴を履くこともある)、古武道などの武道で使われる袴は、行灯袴よりも比較的動きやすい、キュロットスカート状(二股のズボンタイプ)の馬乗り袴(うまのりばかま)の二つです。
馬乗り袴とはその名の通り、馬に跨るために生まれたもので、明治初期までは女性も馬乗り袴を着用していました。
合気道で使う袴は当然、後者の馬乗り袴ですが、その中でも剣道や居合道などで使われる袴と、合気道で使われる袴とでは少し違うため、購入する際は間違わないよう気を付けて下さい。
剣道、居合道などの武道袴と合気道袴の違い
剣道、居合道などで使われる武道袴と、合気道袴は、ともに馬乗り袴でまた腰板があることが共通していますが、受け身を取ったりして転がらない剣道や居合道と、受け身をよく取る合気道とで違いがあるため、少し形状が違っています。
その大きな違いが、前紐の長さと腰板です。
武道袴には、前紐の二本と腰紐の二本、計四本ありますが、合気道以外の袴は前紐の二本が短く、合気道袴は前紐が長いという違いがあります。
次に腰板の中に入っている板の素材が、プラスチック素材が使われていることがあり、それだと合気道で受け身をすると痛かったり、板が割れてしまうため、現在殆どの合気道袴では、受け身しても痛くないゴムの素材が使われています。
また合気道以外の袴には、プラスチックのヘラがついていたりもします。
袴のサイズ
袴を購入する際に気を付けなければならないのは、剣道袴などではなく、合気道袴を買うことと、もう一つはサイズです。
通常インターネットで購入する際には、袴の長さが表示されたりしていて、くるぶしぐらいの長さではきますが、骨盤で紐を締めるのか、ウエストで締めるかなど、どの位置で袴をはくのかと、
帯の結び目が盛り上がっていて、その上から袴をはくため、それによって長さが多少変わってきます。
男性の場合は、腸骨を帯で締めそれに袴を合わせます。
女性の場合は、骨盤の形が男性とは違うため、腸骨で帯を締めるのではなく、骨盤よりも若干上になりますが、卒業式などではく袴のように、胸の下では上過ぎです。
それよりももっと下で、腰ではくイメージになると思います。
そのため帯の位置と結び目の関係から、家で足などの長さなどを測って、その長さに合わせた袴を買っても、長さが合わなかったりします。
ただインターネットで購入する場合は、大体の身長の目安が出ていて、またそれに合わせて袴が作られているため、余り神経質になることもありません。
経験者が購入する際も、綿密に計測などしないで買っていることが多いです。
合気道の袴の色
合気道も組織や流派による違いがあり、道場によっては、茶色い袴や白い袴を履いたりする所もありますが、主には黒か紺です。
また道場によって色を統一していたり、師範、指導員が黒で、門下生、学生が紺色と指定されていることがありますが、札幌女性合気道では特に色の指定はしていません。
紺色は元々藍染を使っていたことから来ていますが、藍染は汗の酸化に強く、抗菌性があり、虫よけにも効果があることから、昔はよく使われていましたが、
藍染は値段が高い事と、道着に色が移ったり、洗濯機や洗剤を使わず、手洗いしなければならなかったり、稽古でも少し重いため動きにくいなど扱いが難しいため、初心者は藍染のものや、余り高級ではなものではなく、初心者用のものが扱いやすいです。
袴の生地
袴の生地は、主に合成繊維(テトロン、ポリエステル)と木綿ですが、
合成繊維は、安いのと、プリーツが取れにくい、しわになりにくい、畳みやすい、普段の手入れが簡単、軽いのが特徴です。
木綿は重量感があり丈夫ですが、合成繊維に比べプリーツが取れやすく、しわになりやすかったり、畳みにくく、洗濯すると若干縮みます。
また薄く軽いものは、動きやすく夏は涼しい反面、膝行や座り技の時に、慣れていないと薄い分膝が少し痛いこともあり、厚く重いものはその逆で、夏が少し暑い分、冬は少し暖かい、動きが多少重くなる、といったこともあります。
袴の購入先
袴にしても合気道着と同じで、インターネットで購入することをお勧めしています。
合気道用品有名店、老舗店、専門サイトなどをいくつか紹介しているので、こちらをご参考に下さい。
武道具店で袴を購入する際の注意点
武道具店で主に扱っているのは剣道に関するものであるため、武道具店であっても、合気道の袴を理解していなかったり、合気道の袴を余り取り扱っていないことから、知らずに剣道袴を勧められることもあるためご注意ください。
ヘラがあるものは、合気道着ではありません。
また試着出来る場合で、もし帯を借りることが出来れば、帯を締めた状態で試着した方がいいです。